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私が思っている事:2017年6月

「この処方どおりにしたら、憂鬱な気分は二週間できっと全快しますよ

-それは、どうしたら他人を喜ばすことができるか、毎日考えてみることです。」

精神分析医 アルフレッド・アドラー

 スポーツジムのプールで黙々と泳いでいたときの話。

同じコースに自分のペースで黙々と泳ぐ女性。かなり水泳人生長そうだと感じていたところ「ごめんなさいね、ペースが遅くて・・」

「いいえそんなことないです。私も自分のペースで泳いでいますから」と私。

その80代の女性スイマーが教えてくれた。

60代の時に息子を亡くし、悲嘆にくれた毎日を過ごしていた。亡くなられた息子さんにはまだ幼い子供がいた。自分は悲嘆にくれている場合ではない。この孫の悲しみはもっと深く、癒えることはない。自分が息子に代わって立派に育て上げなければならない、体力第一と考え水泳を始めた。ずっと止めることなく続けることができ、マスターズ水泳大会で表彰もされた。水泳を続けてきたことで、孫の健やかな成長を見守ることができ、いまでは立派な社会人となり、時々訪ねてきてくれては色々な話を聞かせてくれるとのこと。

“今、本当に有意義な毎日である”と。

 誰かを思い、誰かのために全力で向かっていく。自分のため以上の底力が出るのだろう。

悲しみも憂鬱な気分も乗り越えられるのかもしれない。

私たち医療者の毎日は誰かのため。症状に対応したり、訴えを聞いたり、これからの生活を本人、家族の思いを第一に考え、多職種と協働して調整を図ったり、自分の気持ちを置き去りにしても全力を尽くしていく毎日。そこでへこたれないのは、誰かに必要とされ、その先にある笑顔や感謝、充足感を知っているからかもしれない。

 どうしたら他人を笑顔にさせ、“人生生きて良かった”と思わせるためにどうしたらいいか毎日考え、行動していきたいと思う。

尾﨑 舞

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