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私が思っている事:2014年10月(A to Z 復刊 第8号掲載)

~ あの頃は若かった19歳のころの頭の中~

高校を卒業して京都で浪人生活を始めた。

見るもの、聞くもの新鮮で刺激的。

なにより予備校で出会った友人にはとても刺激を受けた。

田舎から出て来た私は、その会話に圧倒された。いままで感覚で感じることはあっても、言葉でそれを表現してこなかった私には。考えて言葉にする面白さ、どう感じるか、どう考えるか、それを相手に伝えることに夢中になった。

勉強の合間に交わす議論。白熱する。友人たちの賢さに圧倒される。そんな私がはじめて雑誌に投稿した文章が月刊Asahiに掲載された。嬉しかった1万円。そんな雑誌がでてきた。

万人が持つ幼児性

地球上に住むすべての人間は、“潜在的幼児性”とでもいうべきものを持っている。

つまり、人間はいくつになっても甘えたいという思いを持っているということである。

自分の立場を利用して、道理の通らないことを言ったり、不道徳なことをするのは、周囲に対する一種の甘えだと思う。子供が母親に対して駄々をこねるのに似ている。

自立を強いられ、他人に甘えることが許されない大人は、“幼児性発揮願望”が日ごとに増していき、ついには無意識的な言動に、その幼児性が出てしまうのではなかろうか。

ほとんどすべての人が、子供のころ母親の「泣きたくなるようなやさしさ」「泣かせてくれるようなやさしさ」「甘えることを許してくれるやさしさ」を経験してきたことだろう。

しかし、その体験ができるのは、一般に世間から子供であると認められている期間のみである。けれども、人はいつでもそういったやさしさを求めている。この要求が認められないので、人間(特に大人)の質にゆがみが出てきて、それが社会に影響を与えているように思う。

そういう願望を、周囲はある程度認めてやるべきだ。

大人であるからといって、いつも世間に対して大人である必要はない。

同時に子供でもあるのだから、大人に大人であることをいつも求めるべきではないと思う。

大人の世界を少しずつ垣間見るようになり、どれだけ大人が精神的につらいのかがなんとなくわかるような気がして、何か少しさみしい気がして、こんなことを考える。

(京都市右京区・尾﨑舞・学生・19歳)

尾﨑 舞

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